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知って得する!歯のコラム

手遅れになる前に。
放置すると危険な顎関節症
気になったらすぐに歯医者に行こう

「顎がスムーズに開けられない」「口を開閉すると音がする」など、顎に違和感があり顎関節症ではないかと不安になる方もいることでしょう。
顎関節症は、日常の動作での癖による顎関節や周辺組織の炎症などを原因とした症状です。

本記事では、顎関節症のタイプ別の症状や放置するリスク、医療機関での治療方法などを解説します。

結論として、顎関節症は放置して手遅れということはありません。
しかし、悪化すると治療期間が延びるほか治療費用もかかってくるため、症状が気になったタイミングで医療機関に行くことが大切と言えるでしょう。

顎関節症とは何?タイプ別の症状も解説

顎関節症とはどのような状態なのか、タイプ別の症状について解説します。

顎関節症とは

顎関節症とは、口を開けたときに顎関節や顎を動かす筋肉が痛むほか、口が思うように開けられない、開け閉めで音がするなどの症状がある状態を指します。
耳の穴の少し前方に位置しているのが顎関節です。
顎関節は、あごの骨と頭蓋骨の骨を結んでいる場所で、左右にひとつずつある関節です。
口の開閉時の雑音だけなど軽い症状も含めると人口の20%近くの人が当てはまり、うち来院するのは5%程度と言われています。

額関節症のタイプと
タイプ別の症状について

顎関節症にはタイプ別に症状が異なり、日本顎関節症学会では次の4つの症状に分類しています。

・咀嚼筋痛障害(I型):顎周辺の筋肉の障害によっておこるもの
・顎関節痛障害(Ⅱ型) :慢性外傷による顎周辺の筋肉の炎症によるもの
・顎関節円板障害(Ⅲ型) 関節円板の制限によっておこるもの
・変形性顎関節症(Ⅳ型):骨の変形によっておこるもの

咀嚼筋痛障害(I型)は、頸部や型甲帯の機能不全や呼吸機能不全により症状が引き起こされます。
筋肉の使い過ぎによる筋肉痛とも言えるでしょう。
顎関節痛障害(Ⅱ型)は、あくびや硬い食べ物の咀嚼などによる、顎周辺筋肉の伸張による慢性的な炎症です。
顎の捻挫にあたりますが、顎関節の隣にある耳が痛くなることもあります。

下顎頭と下顎窩の間にある関節円板が下顎とうまく合わさることができなくなると、開口に制限がかかります。
これを顎関節円板障害(Ⅲ型)と呼びます。
開閉時に「カクカク」などと、音を生じるケースが多いです。

開口時にシャリシャリとした音がする場合は、顎の骨が変形した変形性顎関節症(Ⅳ型)を疑います。
レントゲンで顎の変形を確認したあとに診断されます。

生活習慣から考えられる
原因とは?

生活習慣が原因で起こる顎関節症には、次の要因が関係しています。

・上下の歯を接触させる習慣
・頬杖をつく、片方の歯で噛む、猫背などの日常習慣
・歯ぎしり、うつぶせ寝などの夜間の習慣
・運動や楽器演奏などの歯を食いしばる動作
・外傷
・悩みごとや緊張感などのストレス要因

とくに上下の歯を接触させる癖は顎関節症患者の8割以上にみられ、症状発現の大きな要因であると考えられます。
通常は口を閉じると歯と歯の間にはわずかに隙間が生じ、歯と歯が接触することは少ないです。
しかし、姿勢などの癖のほか、スポーツなどでも無意識に上下の歯が接触する時間が長くなると、顎関節症を発症するとされています。

緊張やストレスは歯の食いしばりの原因になることや、あご周辺組織の損傷も顎関節症になる要因です。
身体のバランス不調や心理的要因による筋肉の緊張が、顎関節症につながると言えるでしょう。

放置するとどうなる?
自然治癒の可能性やセルフケアについて

顎関節症を放置した場合、自然癒着は可能なのか、放置するリスクや改善させるためのセルフケア方法について解説します。

自然治癒の可能性について

症状があっても放置することで、自己免疫力や自然治癒力によって症状が改善することを自然癒着と言います。
軽度の顎関節症では、しばらく放置して治ったというケースもあります。
しかし、筋肉の炎症が治まることで痛みが緩和されただけであり、あごの状態がもとに戻ったわけではないことを理解する必要があります。

顎関節症は、あごに負担のかかる日常的な動作によって発症することがあります。
あごの炎症を生じさせた原因を改善することが重要と言えるでしょう。

放置するとなぜ良くないのか

顎関節症を放置すると顎の局部的な炎症にとどまらず、進行して全身に広がる恐れがあります。
顎のずれや噛み合わせが悪化すると、顔面骨格の歪みにつながるほか、頚椎の歪みや仙骨の歪みなど、全身症状に進行するケースもあります。

顎関節症の進行による全身症状は以下の通りです。

・頭、目、鼻、耳の痛み
・肩こり、腰痛
・手足のしびれ
・めまい など

症状が重くなるとしびれやめまいなどの不調が起こることで気分が落ち込み、日常生活に支障をきたす恐れもあります。
顎関節症を疑ったら放置するのではなく、専門医に相談しましょう。

自宅で出来るセルフケアは?

自宅でできる顎関節症のセルフケアは次の通りです。

・口を開ける練習をする
・筋肉をほぐす
・頬杖をつかない
・うつ伏せで寝ない など

生活習慣を意識的に改善するほか、ストレスを避けて生活するのもセルフケアのひとつです。
ただし、セルフケアだけおこなえば安心なわけではありません。
痛みがある場合は専門医を受診して治療をおこなうことで、症状を改善していきましょう。

歯科医院での治療方法

顎関節症は歯科医院で治療可能であり、次の治療をおこないます。

・スプリント(マウスピース)療法
・内服治療
・理学療法

治療期間や再発防止に役立つポイントについても詳しく解説します。

スプリント(マウスピース)療法

スプリント(マウスピース)療法とは、就寝前にマウスピースを装着し、夜間の食いしばりや歯ぎしりの予防、噛み合わせの調整などをおこないます。
歯科医院でおこなう一般的な治療方法です。

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上の歯に合わせて製作したマウスピースを装着し、噛み合わせの修正や下顎頭や関節円板の位置を修正します。
スプリント(マウスピース)療法では、日常生活の改善のほか、開口訓練を同時におこなう場合もあります。

5,000円ほど(3割負担)が費用の目安であり、保険適用でおこなえる治療です。
歯並びの悪さが顎関節症を助長させているケースでは、スプリント(マウスピース)療法をおこなったあとに矯正治療を開始することもあります。

内服治療

内服療法では、次の薬を投与して症状の改善を期待します。

・顎関節の痛みを抑える薬
・筋肉の緊張を緩和させる薬
・精神を安定させる薬

顎関節症による痛みが強い場合は、消炎鎮痛薬で痛みを緩和させます。
筋肉のこわばりがあるケースでは筋弛緩薬を使用し、ストレス因子がある場合では抗うつ剤や抗不安薬を内服するなど、原因に合わせた治療をおこないます。

理学療法

理学療法は、電気療法や温熱療法などを施し、血流の改善や痛みの緩和を行う方法です。
もみほぐしやマッサージなどをおこない、筋肉のこわばりの改善をはかります。
さまざまな療法が存在するため、医療機関によっても治療内容が異なるでしょう。

治療期間や痛みが続く
期間について

顎関節症の治療期間は、2週間から長くて3か月ほどです。
治療が終了すると痛みが解消され、開口も支障なくできるようになります。
統計的には、約7割の方が1年以内に症状が問題ないレベルまで改善しています。

治療期間を短くするためには、経験と実績のある歯科医院で自分に合った治療を効果的におこなう必要があります。
歯科医院選びを慎重におこなうとうよいでしょう。

再発の可能性は?

顎関節の変形性変化が強い場合には、再発の恐れがあります。
顎関節や関節円板そのものに異常がある場合では、痛みがおさまったとしても患部の状態が改善しない限り、再度痛みが出現することが考えられます。

日常生活の癖が原因となる場合では、セルフケアをおこない生活習慣を根本的に見直すことが大切です。
一時的によくなった場合でも再発の可能性があるため、歯科医院を受診し適切な治療と継続的なセルフケアの実行が重要と言えるでしょう。

顎関節症治療についてのご相談は
グラントウキョウスワン歯科・矯正歯科へ

顎関節症の多くは、上下の歯の接触時間が長いことで発症します。
痛みが収まったとしても根本的な解決にはなりません。
顎関節症を放置して手遅れになることはありませんが、めまいや手のしびれなどの全身症状につながる恐れがあります。
歯科医院で顎関節症の原因を診断し、適切な治療と自宅でできるセルフケアをおこない、症状の改善をはかることをおすすめします。

グラントウキョウスワン歯科・矯正歯科では、顎関節症の治療を積極的におこなっています。
噛み合わせの調整やマウスピースの治療など、ひとり一人にあった治療計画をご提案しています。
顎の痛みや口が開けづらくてお悩みの方は、一度ご相談ください。